2009年10月7日水曜日

食の安全と安心のために

「食の安全と安心のために」
http://www.saturn.dti.ne.jp/~sasai/index.html

今日は笹井勉さん(東京海洋大学大学院の食品流通安全管理専攻、元墨田区食品衛生監視員)のタイトルのサイトで勉強させていただいた。

笹井さんのお名前は食品事業者向けの月刊誌「食と健康」で拝見したことがあったと思うがホームページのことは知らなかった。

「食品衛生戦後史」のページは自分自身の生活歴と併せ考え、また、現在の消費者の潜在意識(食品添加物に対する拒否反応)のルーツがここにあったと再認識し感慨深かった。

「食品衛生なんでも相談室」のリンク集にもご本人には無断ではあるが収載させて頂いた。多くの方の目に触れて欲しいと思うサイトである。
 

2009年9月29日火曜日

祭事・バザー等で食品を提供する臨時出店・模擬店について

 バザーや模擬店での食中毒事例については数年前に調べたことがありますが、この度、改めて調べてみると、模擬店などでの食中毒は食品衛生の基本的な予防原則、「1.食中毒菌をつけない、2.食中毒菌を増やさない、3.食中毒菌をやっつける」が全く守られていないケースが多いことに気づきます。

 大阪府では模擬店での食中毒防止のためいろいろとお願いをしています(大阪府茨木保健所の例)が全国の状況はどうかなと思い、シルバーウィークを利用し調べてみました。

 全国各地の保健所の相談窓口や届出用紙、提供可能なメニューなどネット上で見つけにくい都道府県市もありましたが根性で調べてみました。下にリンク先を示しています。
 模擬店やバザーなどの臨時出店で住所地ではどうなっているか分からない方にとってはお役立ちではと自画自賛してます。

模擬店、47都道府県の状況 ==> 

     全国の祭事・バザー等で食品を提供する臨時出店・模擬店への指導状況
     http://www.shokuei.sakura.ne.jp/archive/mogiten/huken.html  

2009年9月25日金曜日

学園祭、夏祭り、バザーでの食中毒事例

 学園祭の時期が近づいた。学園祭といえば、もう40年近く前になるが大学の後輩たちが調理販売したかやくご飯が傷んでいて、関係者が恐縮していたことを思い出す。

 昨年の某大学の学園祭でのクレープによる黄色ブドウ球菌事件では被害者の数が多かったせいもあり大学を巻き込んだ大事件に発展したようだ。発生原因は詳細な情報が分からず不明だが、ネット情報によると前日仕込みがあったようだ。ところで、クレープは粉っぽさをなくすために生地を3時間くら冷蔵庫で寝かせておくとよいようで、業者さんでは前日に仕込み寝かせて(冷蔵して)おいて翌日提供するといったことが行われている。模擬店などで、業者さんのまねをして、涼しくなったからといって常温で寝かせておいたりすると事故を招くことになる。また、午前中に仕込んだ生地を常温でおいたまま夕方まで使うのもレッドカードである。

 クレープは加熱するということで油断しがちだが黄色ブドウ球菌の毒素は加熱しても残ることを忘れてはならない。 黄色ブドウ球菌だが、手荒れがある人は手指にこの菌を持っていることが多く、手指の拭き取り検査をすると人によって多量の菌が検出されるのはしばしば経験する。このような方が濡れた手で器具に触れると菌が付着してしまう。黄色ブドウ球菌が食中毒を起こすのに必要な量の毒素を作るのには多量の菌が必要なので、仕込んでから2~3時間程度で口に入る場合は毒素量が少なく問題にならない。ただし、6時間を超えるようなケースでは食中毒はいつ起きても不思議ではない。
 生地を前日に焼いて翌日販売するのも同様に危ない。

私の食品衛生アーカイブ

 「模擬店や野外調理などでの食中毒事例」として過去の事例を集めている。
 http://www.shokuei.sakura.ne.jp/archive/mogiten.html

参考;
 「模擬店、47都道府県の状況」として届出・扱い食品等の義務づけ状況を調べている。
 http://www.shokuei.sakura.ne.jp/archive/mogiten/huken.html

2009年9月17日木曜日

腸管出血性大腸菌O157等関連情報へのリンク

成型肉での腸管出血性大腸菌O157による食中毒事件を受けて、関連情報を求める方が増えたみたいです。
2001年頃までは、なにかと話題になることも多かったのですが、最近ノロウイルスの陰で世間からは忘れられていたような感がありました。
ということで、温故知新という言葉もありますので、私のアーカイブを紹介します。

腸管出血性大腸菌O157等関連情報へのリンク
http://www.shokuei.sakura.ne.jp/archive/o157_link.html

2009年9月13日日曜日

成型肉 潜むO157 「中までよく焼いて」

タイトルの記事が朝日新聞、9月12日の夕刊(大阪版)に出ました。驚いたことに1面扱いです。


 今回の事件の本質がよくまとめられて、消費者に注意を促している良い記事だと思います。
 見落とされた方は、次の asahi.com に出ています。
 http://www.asahi.com/national/update/0912/TKY200909120113.html





 この記事の続きには、別のステーキの事件もでています。こちらは成型肉ではなくカット肉の「角切りステーキ」です。角切りステーキは食べやすいし、値段もリーゾナブルなのですが、食監的には小さいサイコロ状の6面の全てを焼き中心部まで火を通すというのは、根気がいって難しいですね。蓋でもして蒸し焼きにするとよく火が通りますが、私の経験によると安物の成型肉は味も抜けてしまって、ただのミンチ肉になってしまいました。

 筋切りしたり、タンブリング処理(調味液を機械的に浸透)した肉は食べやすく美味しいと思うのですが、よく焼いて食べないといけないということですね。

2009年9月8日火曜日

「食品、添加物等の規格基準」を見やすくしました

 食監にとって、「食品衛生法」と「食品、添加物等の規格基準」は基本中の基本です。中央法規の「食品衛生小六法」にはずいぶんとお世話になっています。
 ところで、私の職場も世代交代のただ中あります。若手の方に業務上の説明をするにもその都度小六法の必要な部分をコピーしてというわけにもいきません。なにしろ、小六法は2冊に分冊されたとはいえ、とじしろ部分がありコピーがうまくとれません。
 一方、厚労省の法令通知データーベースは便利で重宝していますが、規格基準のページはサイズが大き過ぎて扱いに困っています。
 というわけで、先の土日をかけて、私が頻繁に必要とする部分を分割して扱いやすく見やすくしました。

 休日を返上しての成果です。 → 私のアーカイブに収載しました.

 もともと、厚労省のページだから、厚労省でやってもらうとありがたいのですが…。私のページがいくらかでも役に立ったと思われた方は足跡をコメントに残して頂くとうれしいです。

 =>  資料19 「食品、添加物等の規格基準」(食品の部D各条)
      http://www.shokuei.sakura.ne.jp/archive/kokuji_list.html

 ○清涼飲料水 ○粉末清涼飲料 ○氷雪 ○氷菓
 ○食肉及び鯨肉 ○食鳥卵 ○血液、血球及び血漿 ○食肉製品 ○鯨肉製品 
 ○魚肉ねり製品 ○いくら、すじこ及びたらこ ○ゆでだこ ○ゆでがに
 ○生食用鮮魚介類 ○生食用かき ○寒天 ○穀類,豆類及び野菜
 ○生あん ○豆腐 ○即席麺類 ○冷凍食品 ○容器包装詰め加圧加熱殺菌食品     

補足:厚労省のホームページに利用者の利便のために「食品別の規格基準について」というページができています。今後、厚労省のページを使っていただくようお願いします。(2010/11/15)
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/jigyousya/shokuhin_kikaku/index.html



微生物基準や冷凍食品や食肉製品の規格を確認したい方にはお役に立てると思います。
また、「食品、添加物等の規格基準」を勉強される方の便利のために、この告示の構成が分かるように抄本を作ってみました。まだ少し長文ですがこちらも参考にしてください。
 → 「規格基準のアウトライン」

2009年8月30日日曜日

食品衛生監視員研修会に参加する

 先日、兵庫県民会館で行われた「近畿食品衛生監視員研修会」に参加した。特別講演として、丸本敏久氏の「時代が求めるメンタルコミュニケーション - 笑顔のメンタ ルコミュニケーション -」、吉岡昭彦氏の「従来の疫学的手法で解明できない事例のための新たな調査手法の検討」の2題。併せて27題の研究発表が行われた。

 コミュニケーションの話は「オイ!コラ!」で話をすませていた時代なら問題なかったであろうが、回収命令よりも自主回収がメインとなってきた近年は、相手の『気づき』による自発的なアクションが要求されるようになっている。私的には「主要価値類似性」にも通じるのかなと思う。 原因不明の食中毒事件(有症苦情事例)は私も何度か係わったことがある。今思うと、食中毒の原因としてノロウイルスが追加される前は秋から春にかけての有症苦情事例はほとんどがノロウイルスであったようだ。ノロウイルスや黄色ブドウ球菌が否定されながら原因物質不明となった近年の事例としては、きのこ関連、会食関連を思い出す。 事件を探知し調査の結果、食事(食品)は推定できても検査の結果、何も出てこない場合はグループ内での感染症か食中毒か判断できないことがある。今回の話は全国的に網をはって、推定原因食品の残品を確保し原因物質を特定したいということかと私なりに理解した。

 研究発表は忙しい業務の合間を縫っての発表なだけに、各題とも各組織の様子が窺われ興味深かった。保健所によっては過去数年間食中毒を経験していないという話を聞いたりすると毎月食中毒事件の処理をしている身辺に較べその違いに今更ながら驚くが、若手の方が発表しているのを見ると団塊の世代が退場したのを感じる。

 以下に、私がとくに参考になったと思った発表をあげる。
「米飯によるセレウス菌食中毒事例について」[大阪府]、「バイキング形態で提供を行っている飲食店における衛生管理状況について」[京都市]、「製造現場等におけるシラス中の過酸化水素簡易測定法について」[和歌山県]、「営業許可施設内における「ジクロルボス蒸散剤」の使用実態と安全対策について」[奈良県]、「活スッポンのサルモネラ汚染実態とその食中毒予防について」[大阪府]、「会席料理で頻発した有症苦情事例の疫学的再検討について」[京都府]

2009年8月4日火曜日

食品衛生法と細菌基準

 「食品衛生なんでも相談室」では、アクセス解析を行い、皆さんの疑問点の確認なども行っています。

 過去ログのヒット件数でこの頃目立つは、模擬店落下細菌の基準、自宅カフェや特定の食品の細菌検査、紫外線殺菌などです。
 疑問点について、新たに相談して頂くと、どなたかから的確な回答が寄せられますが、時間的な余裕も無いためか素通りされる方も多いように感じています。

 という訳で、細菌の基準や衛生規範などについて検索される時のヒントになれば幸いと思い書いてみました。

◎ 『コープさっぽろ 』 安全・安心への取り組み 6つの自主基準 微生物基準 - 出荷時点基準(新規取扱い商品に適用)は参考になります。
http://www.coop-sapporo.or.jp/contents/view/id/154
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  追補 2012/08/19 『コープさっぽろ』は現在閲覧できません。
  『エフコープ取り扱い商品管理基準』を参照ください。
  http://www.fcoop.or.jp/goods/kijun/

◎ 法的裏付けを知りたい方へ
 食品の細菌に関する基準については食品衛生法や衛生規範により決められています。
  これは、厚生労働省の「法令等データベースサービス」で確認することができます。
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  追補 09/09/08 個別の食品の規格基準について見やすく整理しました。
  ここをクリック ==>  資料21 「食品、添加物等の規格基準」のアウトライン
      http://www.shokuei.sakura.ne.jp/archive/kokuji/outline.html
  追補 11/01/24 衛生規範については茨城県のサイトが便利です。
  http://www.shoku.pref.ibaraki.jp/kanren_jigyosha/eisei/eisei09.html
  追補 2012/10/26 漬物の衛生規範の改正等について
  http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002lt6o-att/2r9852000002ltab.pdf


 

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A 食品衛生法で成分規格(細菌規格)が定められているもの
  「食品、添加物等の規格基準 厚生省告示第370号」に記載されているが、現在の処、希望する食品にたどり着くのは困難。
  清涼飲料水,氷菓,食肉製品,冷凍食品,生食用かき、生食用魚介類 等が規定されている。
   ====> 法令検索へ
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2009年8月2日日曜日

腸炎ビブリオ食中毒が影をひそめる

 喜ばしいことに、このところ、腸炎ビブリオ食中毒の声をあまり聞かない。私たちの大阪府では、昨年今年と腸炎ビブリオ食中毒の届け出はない。

念のため、厚生労働省の食中毒事件速報で確認すると、
http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/10hassei/xls/H20joukyou.xls

平成20年中に17件、患者168名とある。

感染症情報センターの病原微生物検出情報
http://idsc.nih.go.jp/iasr/index-j.html

で確認すると、下図のとおり、2005~2007年にはある程度報告があるが、2008年、2009年と激減している。

 一時猛威をふるった腸炎ビブリオO3:K6型菌も交代期を迎えているようだ。

 食品安全情報  No. 6 / 2009 に
http://fcsi.nihs.go.jp/ex/webdocs/ex-01/2009_/foodinfo200906/foodinfo200906.pdf
「3.チリ南部における腸炎ビブリオ(Vibrio parahaemolyticus)アウトブレイクの疫学調査」
という記事があるが、「病原性関連遺伝子群が、世界的流行株からこの地域の貝類に生息している多様で変動性を有したバクテリア集団を構成する腸炎ビブリオグループのうちの1 つに水平伝播したことが示唆された。」とあり、新型インフルエンザが出現したのと同様に出番をうかがっているようだ。

2009年7月30日木曜日

予測微生物学の成果を試す

 財団法人食品産業センターのHACCP関連情報検索システムに「予測微生物モデル」というのがある。
 http://www.shokusan.or.jp/haccp/yosoku/1_1_yosoku.html

 ブドウ球菌食中毒事件に関連して試用したという情報を聞き、理論のことはよく分からないが私も試してみた。
 エクセルのバージョンが合わないのか、画面解像度の設定が悪いのか、表示された画面は少し見づらかったが、なんとなくグラフ化することができた。
 設定条件として保存食の検査結果から、喫食2時間前で菌数が10の6乗程度。保存温度は調理場の室温に近い35℃程度で3時間程を考えてみた。
 結果は次のような感じとなる。



 感じとしてはラグタイム2時間は長すぎ、現実の食中毒事件では直ちに対数増殖期にはいるのではと思われることから、0時間とし、初発菌数を手荒れの素手で直掴みと考え多めに取ると納得のいくグラフとなっている。

 黄色ブドウ球菌食中毒が発生するには、やはり、汚染後5時間以上経って喫食というのが相場だねと再び納得してしまった。

2009年7月25日土曜日

ブログ「食監のコーヒーを飲みながら」

 ネットサーフィンをしていてタイトルのブログを発見した。
 気に入ったので早速、「食品衛生なんでも相談室」のリンク集に収載することにした。
 「食品衛生監視員の本音を気楽に語る場所です」とあるように、ブログの作成者が本音で語る内容は、同じ業界人としても面白い。団塊世代の大量退職など、なるほど、どこも同じかなと思う。

 「食監のコーヒーを飲みながら」
 http://syokkan-coffee.cocolog-nifty.com/blog/

2009年7月22日水曜日

「食監の隠れ里」が Document not found に

 先日から名主様の「食監の隠れ里」が見れなくなっています。ご多忙らしく、最近更新がないので気にはなっていたのですが…。

 名主様の「とうざ日記」の方はつながります。
 http://blogs.dion.ne.jp/touzadiary/

「X-ふぁいる」も再発見しました。
 http://www.h5.dion.ne.jp/~kakure/xfile/xfile_001.htm

2009年7月21日火曜日

昨年はヒスタミン食中毒の当たり年だった

 厚生省の食中毒発生事例からヒスタミン食中毒の経年変化を調べてみたところ、次のグラフのような結果となった。



2007年に谷間があるが、この年は、中国や韓国が高値で魚を買いあさると言うことで、マグロ不足が喧伝された年にあたる。昨年はリーマンショックの年。このあたりに何か関係があるのだろうか。

また、ヒスタミン食中毒の原因となった魚種別経年変化をアーカイブに収録したが、昨年のマグロ関係でのヒスタミン食中毒の多発について情報をおもちの方は教えて欲しい。

資料 15 ヒスタミンによる食中毒事例(魚種別年次変化) 2000年~2008年
http://www.shokuei.sakura.ne.jp/archive/histamine.html

2009年7月19日日曜日

ヒスタミンによる食中毒事例を勉強

 集団給食施設でのヒスタミン中毒は、冷凍食品を使用することが多く、季節性はあまり無いと思っていたが自分で集計してみて、完全な夏型であることが分かった。
 下図で分かるように、8月に谷がある。これは学校給食が夏休みになるせいであろうか。















追補(2011/2/6):ヒスタミン食中毒について原因や予防法をまとめてみました。
 資料 15 ヒスタミンによる食中毒事例(魚種別年次変化) 2000年~2009年
 http://www.shokuei.sakura.ne.jp/archive/histamine.html (最終更新:2010/12/11)

2009年7月17日金曜日

人件費を押さえたために

 「人件費カットに由来する不自然な勤務時間」を感じたことがあった。3食提供の現場で、調理師が早朝6時から午後3時までの勤務となっている。これでは、夕食を早く仕上げることになる。そうすると、加熱調理された料理は、盛り付け時まで長時間保管さることになる。

 加熱調理後に細菌汚染があると、菌量は1万倍くらいになる可能性があり危険きわまりない。しかし、通常、このことによって事故が発生する確率は個人レベルの目では無視できるくらい低いため、つい横着してしまうことになる。

 現場では事故に遭遇し、「何時もと同じで、何か失敗した覚えは無いのに何故?」ということになってしまう。
 経営者としては痛い目にあってはじめて反省することなのだろう。

2009年7月16日木曜日

カンピロ食中毒原因施設の営業者の言葉を聞いて思うこと

 「新鮮な肉なら大丈夫だと思ってました」「10年以上、生を提供しているけど何ともなかったのに」という声にはPR不足を反省。 

 「鶏肉販売店から生での提供は危ないよと聞いていたけど、まさか自分のところがだすとは思ってなかった」とは、つい最近あった原因施設。PRが行き届きつつあることには安堵するが、事件が起きてしまっては落胆。

 肉の生食の危険性については、例年PRしているが、「私は宝くじには当たるかもしれないけど、飛行機事故には会わないと思う」という心理に共通しているものを感じる。

 それぞれのお店は生食を提供することを除けば衛生管理にも気をつけているのに残念である。

2009年7月15日水曜日

宮仕えの悲哀

 居酒屋で連続してカンピロバクターによる食中毒が発生した。この不景気の中、サラリーマンの給料は抑えられ、高価なお店で親睦会をというわけ にも行かない。比較的安価ですむ焼き鳥をベースにした居酒屋が利用されることになる。このところ、お客も焼肉店から焼き鳥店へシフトしているようだ。

 この不況下、大メーカーには子会社や下請け会社の社員、派遣の社員が机を接して仕事をしているケースもあるようで、これが中毒調査を難しくする。

 下請けとしては、親会社の社内を下請けが起こした不祥事で保健所職員がうろつくようなことがあれば、親会社に新型インフルエンザでも発生したかと出入りの業界関係者に誤解され風評被害を招くかも分からないと心配する。

 そうなると、調査実施のために社内協議がおこなわれ、保健所に対し、時間外とか別の場所での面接調査などの要望が寄せられることになる。保健所では、患者側の回答待ちのま ま、無為に時間だけは過ぎる。その間、原因施設側に患者側の情報を伝え原因食品を絞り込むこともできない。情報の探知から事件の概要が判明するまでに信じられない 時間がかかることになる。

調理師と栄養士のせめぎあいを思う

 集団給食の調理現場にも会社やお客から美味しいもの、見栄えの良いものが要求される。料理の美しさ・美味しさと衛生とは相反することも多い。

 和食では煮物に味をしみさせるため、煮汁につけたまま冷ます。この行為がウエルシュ菌食中毒の原因となるおそれがあるので、加熱後の急冷を指導しているが、和食の調理師さんにはなかなか徹底できない。

 食中毒事例のなかに、下ごしらえし、冷蔵していた野菜を煮立った煮汁にブドウ球菌に汚染された素手で入れ、素材の色を残すため、充分加熱しないで火を止めて保管したためブドウ球菌を増殖させたと推測されるケースもあった。

 また、再加熱を必要とされる場合も煮くずれを気にして充分な加熱がなされているか疑問だ。このあたりの衛生管理は管理栄養士さんの任務の一つかとも思うが、職場内の力関係では、とても口出しできる状況でないところもあると思う。

2009年7月14日火曜日

事故の後は自己保身

 食中毒事件の後、調理従事者の検便を行うとしばしば患者と同じ原因菌が検出されることがある。事情を聞いても調理従事者はずっと健康で症状を呈していなかったということになる。でも、それが怪しい。下痢気味の時はトイレで手を汚しやすい。が、健常便のときも同じように頻繁に手を汚すでしょうか?便中の菌数は下痢のときと同じほど多いでしょうか?

 また、調理法を問うと「唐揚げをあげた時の加熱は中心が75度で1分間加熱を確認しました」という模範的な回答が返ってきます。どんなに忙しい時も暇なときと同じように作業出来ているでしょうか?

 以前、薬味に使った野菜による事件の際、一つの現場でのみ患者発生が見られず、薬味野菜を加熱したと推察されるのに、「マニュアルどおり生で提供しました」と頑として答えが変わらぬこともあった。

 このように、事件後の聞き取りは正直に答えてくれることが多いとは思うが、嘘発見器を使用して聞き取りを行うわけではない。 「人は自己保身に走る」ということを念頭に置き、調査報告書を読む必要もある。少し脱線してしまった。

2009年6月24日水曜日

退職後の意向調査

2009/06/24 (水)
 職場の世代交代は着々と進み、周囲を見回しても同世代の方々は数えるばかりとなってきた。研修会などで若手の方々と一緒になる機会があるが、若手も着々と成長してきた。頼もしい限りだ。意欲的に経験を積み次代を担おうとしてる。
 今、全国食品衛生監視員協議会での発表に向け発表課題の仕上げが若い人を中心に進んでいる。私が少しは関係した発表もあるが、全国の皆様のお目に触れるかどうか近畿での大会での結果次第。私の名前が出ることはない、食中毒予防のためにお役に立てればうれしい限りである。

2009年5月4日月曜日

ノロウイルス感染症について考える

 昨年から今年にかけ、ノロウイルスによる食中毒はやや下火になった。私の方で最近関係したのは最終的には食品を介しない感染症と考えられる事件が2件。どちらも食中毒が疑われるような事例だったが、突き詰めて調査すると、発生当時、周辺地域での散発事例の多発が確認され、感染症の可能性を否定できず、食中毒とはされなかった。

 散発事例の発生状況を見ると、ある鉄道沿線の高齢者施設で頻発しているようで、調査すると単一暴露の食中毒は否定され、施設内での感染症が示唆された。その中で浮かび上がったのは、初発患者の発症前に面会者があったケースが多いのではないかという感触である。

 ここから先は推測だが、面会者は入所者の老人に、何かお土産を持参しないだろうか?老人が好むお土産とは何だろう? その何モノかは、食中毒を起こすおそれがあるとして禁止される弁当や惣菜などの生ものでもなさそうだ。お土産として普通には疑われることがないものの可能性がある。

 現在はノロの多発シーズンは過ぎたので風評被害を恐れず大胆な推理をすれば、先年、大規模な中毒を引き起こした和生菓子が原因になったケースと同様のケースは無かっただろうか?

 願わくは、予防の徹底を期すためにも来シーズンに向け業界あげての取り組みがあればと思う。

147,693 アクセス達成

2009/05/04 (月)
 日記の更新を怠っているうちに3年が経過した。この間にインターネット事情は大きく変わり、ネット内の情報量は飛躍的に増加した。このサイト開設当初は、一般の方々が信頼のおける情報に接することも難しかったが、現在では様々な機関が多くの情報を提供しており、情報の洪水と言った有様だ。
 Googleなどの検索サイトを利用すると、適切なサイトが案内されるが、当サイトのリンク集は食品関係者として押さえておきたいサイトの紹介を眼目とている。訪問者の知識の整理などにご利用いただければ幸いだ。