2006年4月9日日曜日

「ギラン・バレー症候群」!!!

 カンピロバクター食中毒から進展したと思われる、ギラン・バレー症候群にかかる調査依頼が流れたのを眼にしました。
 食中毒のカンピロバクターは長めに下痢をしておしまいというくらいのたいしたことはない病気でしょうが、引き続き起こる可能性のあるギラン・バレー症候群は腸管出血性大腸菌と同じように重大なもので、命は落とさないまでも、長期にわたる病気になる可能性があります。
 ギラン・バレー症候群は色んな原因で発症するようですが、カンピロバクター食中毒患者の1,000人に一人くらいの割合で(と聞いたようにおもいます)発症すると言われている自己免疫疾患です。詳しくは難病情報センターのHPをごらんください。
 http://www.nanbyou.or.jp/sikkan/020.htm

 私の長い食監生活でも、2例しか知りませんが実際にはもっと身の回りで発生しているのではと思います。
 一例は、焼鳥屋での食事歴、もう一例はささみのお寿司の食事歴のある下痢症患者です。下痢までの潜伏時間からカンピロバクター食中毒と考えられます。
 ただ、大人の下痢患者は受診しないケースも多いし、検便でカンピロバクターの検査をするところもまれだとおもいます。長引く下痢の場合は、抗生物質が投与されており、菌を検出できないケースもあります。

 参考までに、
― 闘病記 体験記 情報集 の HP ―
[ギラン・バレー症候群の ひ ろば]が目に付きましたのでURLを紹介します。
 http://homepage3.nifty.com/ikasarete/
2017/03/11 追補
ギラン・バレー症候群のひろば のurlが変更になっています。
http://rayofhope-link-gbshiroba.blogspot.jp/

鶏肉のカンピロバクター汚染率の高さに改めて驚く

 先日、食肉類の汚染実態調査のための収去検査があり、検査結果を収去先へお知らせしたが、出ますね。サルモネラもカンピロも大げさに言うと「ゾロゾロでます」と言った感じ。

 鶏の高病原性インフルエンザが世間では問題になっていますが、現在のところ日本での食中毒発生事例の可能性は考えられません。現実問題としては、病原性細菌の汚染率の高さが問題にされるべきところでしょうが、マスコミには取り上げる気配がありません。

 鶏の生キモやササミのお刺身など、そんな恐ろしい物をというのが私たちの感覚ですが、マスコミは無責任に奨めてますね。でも、焼鳥屋さんには必要なアイテムのようです。少し高くなっても安全な肉を供給するのが業界のつとめだと思うのですが、その世論づくりがうまくいきません。

 世論づくりがうまくいかないのは、生肝などの常食者が、周囲から発症者がでるケースがないと感じているのも一因ですが、難しいところですね。

 カンピロバクターについては、30℃を超える嫌気条件とかでないと増殖しないようなので、屠鶏後の増殖は考慮しなくて良いと思います。要は、川上である養鶏場からの菌の垂れ流しが絶えないと言うところが問題です。

 養鶏場の現場では、耐性菌の問題もあり、抗生物質などをじゃぶじゃぶ使えるという状態ではないので根絶は難しいのでしょう。

 カンピロバクター自体は、養鶏の現場では経済上特に問題とならないようで、鶏舎の衛生管理にコストをかけるメリットが皆無というのが無策の原因であるような気がします。家畜衛生保健所の頑張りをお願いしたいところです。

 また、このところの地鶏ブームも、鶏の長期飼養ということで高汚染の原因のひとつになっているのかもしれません。平飼いなどでの鶏舎の消毒など出来るのか疑問です。諸外国でも頭の痛い問題ではあるようですが・・・。

2010/12/15 補足

厚生労働省:平成21年度食品の食中毒菌汚染実態調査の結果についてhttp://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/kanren/yobou/100330-1.html

結果及びとりまとめ 別添2(PDF:33KB)及び別添3(PDF:129KB)