2006年5月3日水曜日

10万アクセス達成

5月2日、当相談室開設以来10万アクセスに達した。

コメントや相談を頂く皆様のご協力あればこそと思う。感謝!

2006年4月9日日曜日

「ギラン・バレー症候群」!!!

 カンピロバクター食中毒から進展したと思われる、ギラン・バレー症候群にかかる調査依頼が流れたのを眼にしました。
 食中毒のカンピロバクターは長めに下痢をしておしまいというくらいのたいしたことはない病気でしょうが、引き続き起こる可能性のあるギラン・バレー症候群は腸管出血性大腸菌と同じように重大なもので、命は落とさないまでも、長期にわたる病気になる可能性があります。
 ギラン・バレー症候群は色んな原因で発症するようですが、カンピロバクター食中毒患者の1,000人に一人くらいの割合で(と聞いたようにおもいます)発症すると言われている自己免疫疾患です。詳しくは難病情報センターのHPをごらんください。
 http://www.nanbyou.or.jp/sikkan/020.htm

 私の長い食監生活でも、2例しか知りませんが実際にはもっと身の回りで発生しているのではと思います。
 一例は、焼鳥屋での食事歴、もう一例はささみのお寿司の食事歴のある下痢症患者です。下痢までの潜伏時間からカンピロバクター食中毒と考えられます。
 ただ、大人の下痢患者は受診しないケースも多いし、検便でカンピロバクターの検査をするところもまれだとおもいます。長引く下痢の場合は、抗生物質が投与されており、菌を検出できないケースもあります。

 参考までに、
― 闘病記 体験記 情報集 の HP ―
[ギラン・バレー症候群の ひ ろば]が目に付きましたのでURLを紹介します。
 http://homepage3.nifty.com/ikasarete/
2017/03/11 追補
ギラン・バレー症候群のひろば のurlが変更になっています。
http://rayofhope-link-gbshiroba.blogspot.jp/

鶏肉のカンピロバクター汚染率の高さに改めて驚く

 先日、食肉類の汚染実態調査のための収去検査があり、検査結果を収去先へお知らせしたが、出ますね。サルモネラもカンピロも大げさに言うと「ゾロゾロでます」と言った感じ。

 鶏の高病原性インフルエンザが世間では問題になっていますが、現在のところ日本での食中毒発生事例の可能性は考えられません。現実問題としては、病原性細菌の汚染率の高さが問題にされるべきところでしょうが、マスコミには取り上げる気配がありません。

 鶏の生キモやササミのお刺身など、そんな恐ろしい物をというのが私たちの感覚ですが、マスコミは無責任に奨めてますね。でも、焼鳥屋さんには必要なアイテムのようです。少し高くなっても安全な肉を供給するのが業界のつとめだと思うのですが、その世論づくりがうまくいきません。

 世論づくりがうまくいかないのは、生肝などの常食者が、周囲から発症者がでるケースがないと感じているのも一因ですが、難しいところですね。

 カンピロバクターについては、30℃を超える嫌気条件とかでないと増殖しないようなので、屠鶏後の増殖は考慮しなくて良いと思います。要は、川上である養鶏場からの菌の垂れ流しが絶えないと言うところが問題です。

 養鶏場の現場では、耐性菌の問題もあり、抗生物質などをじゃぶじゃぶ使えるという状態ではないので根絶は難しいのでしょう。

 カンピロバクター自体は、養鶏の現場では経済上特に問題とならないようで、鶏舎の衛生管理にコストをかけるメリットが皆無というのが無策の原因であるような気がします。家畜衛生保健所の頑張りをお願いしたいところです。

 また、このところの地鶏ブームも、鶏の長期飼養ということで高汚染の原因のひとつになっているのかもしれません。平飼いなどでの鶏舎の消毒など出来るのか疑問です。諸外国でも頭の痛い問題ではあるようですが・・・。

2010/12/15 補足

厚生労働省:平成21年度食品の食中毒菌汚染実態調査の結果についてhttp://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/kanren/yobou/100330-1.html

結果及びとりまとめ 別添2(PDF:33KB)及び別添3(PDF:129KB)

2006年2月22日水曜日

O157集団感染:「浅漬け」の可能性 /香川

 二つの老人施設で同時に発生した腸管出血性大腸菌による死亡食中毒事件について、県は「浅漬け」の可能性を公表した。
 断片的に伝えられる情報から漬け物が原因であろうと推定していたが、改めて「浅漬け」の可能性があると聞いてその通りであろうと思う。
 浅漬けの汚染源については不明としているが、原料野菜の種子汚染、栽培時の汚染、野菜洗浄時の汚染、漬け物製造時の汚染など可能性は複数考えられるので原因を断定するのは難しいのであろう。

過去にも、次のような事例があったことを思い出します。

2002年6月
「キュウリの浅漬け」が原因と考えられた保育園における腸管出血性大腸菌O157集団感染事例-福岡市
http://idsc.nih.go.jp/iasr/24/280/dj2803.html

2001年8月
和風キムチによるEHEC食中毒事例-東京都
http://idsc.nih.go.jp/iasr/23/268/dj2682.html

2000年6月~7月
かぶの浅漬けに関連した老人保健施設における腸管出血性大腸菌O157感染症の集団発生-埼玉県
http://idsc.nih.go.jp/iasr/21/250/dj2505.html


「キュウリの浅漬け」が原因と推察された腸管出血性大腸菌O157の集団感染事例
 http://www.fch.chuo.fukuoka.jp/H14shoho/120kyuriO157.pdf

尾﨑延芳1)・大庭三和子1)・樋脇 弘 1)・藤代敏行2)・衛藤真理子1)・瓜生佳世1)・真鍋和義1)・宮代 守3)・若月紀代子1)・武田 昭1)・
1).福岡市保健環境研究所 保健科学部門
2). 同上(現所属:保健福祉局 食品衛生検査所)
3). 同上(現所属:保健福祉局 生活衛生課)

2002年6月,福岡市内の某保育園において腸管出血性大腸菌O157の集団感染事例が発生した.6月26日,初発患者からの本菌検出に伴い,延べ1,540名の検便と調査が行われ,112名の感染者(初発患者含む園児86名,職員14名,園児の家族12名)が確認された.保育園では給食を提供していたことから,保存食129検体(調理済み食品59検体,原材料70検体),給食室残品121検体,調理場のふき取り6検体,園が購入した食品の製造施設のふき取り等142検体,食品製造所従業員検便64検体および園内の使用水,砂場の砂,貸しおむつ,ペット等の飼育水等の検体21検体について検査した結果,6月21日の給食に供された「キュウリの浅漬け」から本菌が分離された. すべての分離株はVT2を産生し,疫学的調査およびパルスフィールドゲル電気泳動(PFGE)等による解析の結果,すべて同一菌と推察された.